はと麦の説明

● ハトムギで健康長寿

中国では、古くからハトムギは不老長寿のための貴重な食品とされていたようです。「後漢書」の中の「馬ま援えん伝でん」に、前述の馬援将軍がハトムギを愛用したおかげで、70歳を越す老齢にもかかわらず、遠征から問題なく帰還したといった記述があります。また、2～3世紀ごろに書かれた医学書「神じん農のう本ほん草ぞう経けい」では、ハトムギは上薬に区分されています。上薬というのは、「身体を快調にして、不老長寿に効果があるもの」という意味です。現代中医学の体質学においてもハトムギは大変重要な食物であることが記述されています。北京中医薬大学の王琦、朱燕波両教授らによれば、人の体質は九分類され、なかでも平和質が最も理想的な健康体質とされており、この平和質の維持にハトムギが役立つとされています。健康寿命延伸に役立つ食品と言えます。また、いわゆるメタボ体質であるたん湿しつ質しつや、体内に熱がこもり、ニキビができやすい・顔が脂ぎる・口の中が苦いといった湿しつ熱ねつ質しつにも有用であるとされています。わが国では未病という言葉が一般的に使われるようになってきましたが、中国では治未病といって本格的な病気になる前の未病の状態を治す試みが通常の病院でなされています。ハトムギは治未病の切り札と言われており、病院食でも今後需要が増えてくると考えられます。